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飲食店の防犯カメラ設置にはどんな義務がある?守るべき法令と活用事例を解説
「飲食店経営には、防犯カメラを設置する法律上の義務があるのだろうか?」
このような疑問をいただいている方も多いのではないでしょうか?
結論として、防犯カメラの設置に関する法的義務はありません。しかし、店舗運営において役に立つさまざまなメリットがあることから、多くの店舗で導入されています。
本記事では、飲食店に防犯カメラを設置するにあたって気をつけるべき関連法令と、設置のメリットについて解説します。最後まで読んで、防犯カメラを効率的な店舗運営に役立てましょう。
【結論】設置の告知と映像の管理は義務ではなく推奨である
飲食店に防犯カメラを設置する際は、撮影の告知や映像データの適切な管理が求められます。ただし、あくまでも義務ではなく推奨です。
総務省と経済産業省が示す指針で、以下のように明記されています。
2 事前告知時の配慮
② カメラ画像の撮影及び利活用を開始する場合、十分な期間をもって事前
告知を行う。
告知は、撮影対象場所における物理的な方法(ポスターの掲示やパンフ
レットの配布等)もしくは電子的な方法(自社 HP 上でのリリース等)、
あるいはその両方を組み合わせた方法によって行う。
具体的な告知内容・告知方法については、生活者がその情報を得る機会
が増すよう
4.配慮事項
以降に定める配慮事項は、事業者に対し、その対応を強制するものではない。
引用:「カメラ利活用ガイドブック IoT 推進コンソーシアム 平成30年3月」
推奨に反しても、罰則が設けられているわけではありません。しかし、個人情報保護法に抵触することによるトラブルを避けるためにも、防犯カメラの設置は慎重に行うべきです。
防犯カメラ設置に関する法律とは
防犯カメラの設置に関して特化した法律は存在しませんが、いくつかの法律や指針が関連します。知らぬまま「プライバシー権」や「肖像権」を侵害してしまわないためにも、運営者は押さえておきましょう。
以下で解説します。
- 民法
- 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
民法
民法709条は、プライバシー侵害に対する法的保護の基礎です。
この条文では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されています。
※引用「民法|条文|法令リード」
プライバシー権は「法律上保護される利益」に該当すると解釈されています。
したがって、防犯カメラによってプライバシーを侵害した場合、民法に基づいて損害賠償を請求される可能性があります。
個人情報保護法
撮影した映像が個人を特定できる場合、その映像は個人情報として扱われます。しかし、映像の管理が不適切な場合、プライバシー権の侵害を問われる可能性があります。
具体的には、情報を収集した者は個人情報の本人から情報の開示、訂正、利用停止などの請求を受ける場合があるため、注意が必要です。
また、必要な報告や資料の提出や事業所などへの立入検査に応じなかった場合、50万円以下の罰金の対象となる場合があるので、注意が必要です(個人情報保護法182条1項)。
法令を遵守した運用方法とは?
法令を遵守し、適切に防犯カメラを運用するには、以下の点に留意する必要があります。
- 告知義務の有無を確認する
- 設置場所や撮影範囲を限定する
- 録画データは定期的に削除する
- 従業員への教育と周知を行う
告知義務の有無を確認する
防犯カメラを設置する際、個人情報保護法に基づき告知義務が生じる場合と生じない場合があります。
告知が必要なケース
告知が必要なケースは、主に以下の通りです。
- 撮影した映像をマーケティングの目的に転用している場合
- 不特定多数の人が通る場所に設置する場合
- 特定の個人を識別できる場合
告知の記載事項には、カメラの設置場所、撮影目的、管理者の情報、撮影範囲、告知方法などが必要です。
告知が必要ないケース
防犯目的が明らかな場合は、告知の義務はありません。
店内の混雑具合を感知するためなど、お客様のプライバシーに影響を与えない範囲で運用される場合なども同様です。
設置場所や撮影範囲を限定する
防犯カメラの設置場所や撮影範囲は、必要最小限に抑える必要があります。店舗内では、レジ周辺、入退店時の出入口、商品棚エリアなど、防犯上重要な場所に限定して設置するのが望ましいです。
また、カメラの画角も慎重に設定しましょう。レジでの支払い時にお客様のカードの暗証番号が映り込まない、店外の歩道や隣接する店舗まで撮影しないなどの注意が必要です。
録画データは定期的に削除する
撮影データの保存期間に関する明確な法的規定はありません。しかし、録画したまま放置するのは、個人情報の取り扱いとして避けるべきです。
具体的には、1ヶ月から3ヶ月をめどに古いものから削除しましょう。
従業員への教育と周知を行う
個人情報である撮影データを取り扱う以上、社内の従業員の教育とルールの周知は不可欠です。
- 不正アクセスや情報漏洩を防ぐ
- 映像の目的外利用をしない
- お客様からの問い合わせには速やかに対応する
社内における共通認識を、あらかじめ整えておきましょう。
設置義務はないが防犯カメラを導入するメリット
先ほどお伝えした通り、法令による設置義務はありませんが、飲食店に防犯カメラを導入するメリットは、以下の通りです。
- 犯罪抑止効果がある
- トラブル発生時の証拠映像を残せる
- マーケティングデータの収集ツールとして活用できる
- 従業員の不正(内引き)防止効果がある
犯罪抑止効果がある
防犯カメラの設置は、飲食店における犯罪抑止に大きな効果をもたらします。なぜなら、カメラの存在が犯罪者に警告を与え、窃盗や万引きなどの犯罪行為を思いとどまらせる効果があるからです。
愛知県刈谷市では、街頭犯罪を防ぐため防犯カメラを設置した結果、設置後の5年間で刑法犯認知件数が46.4%減少したというデータがあります。
新宿区歌舞伎町では防犯カメラ設置後、犯罪件数が大幅に減少しました。「防犯カメラ作動中」などの表示を併用することで、より高い抑止効果が期待できます。飲食店では、万引きや窃盗の防止に有効です。
トラブル発生時の証拠映像を残せる
飲食店での防犯カメラによる映像記録は、トラブル発生時の重要な証拠として活用できます。
警察庁のデータによると、職務質問や参考人の取り調べによる犯人特定より、防犯カメラ映像による犯人の特定・逮捕のケースの方が多くなっています。(2020年の刑法犯検挙約27万件中、約3万3,000件が特定)
特に、レジ周りでの金銭トラブルの証明には、高画質な映像記録が有効です。
マーケティングデータの収集ツールとして活用できる
撮影した映像から来店客数、男女比、年齢層などの顧客属性を分析することで、防犯カメラをマーケティングデータの収集ツールとして活用できます。
例えば、特定のゾーンでの滞在時間が長い場合、そのエリアに関連する商品の追加プロモーションを検討するなど、売上向上のための施策立案が可能です。
また、店内の顧客導線を把握することは、商品陳列やテーブルレイアウトの最適化につながります。混雑時間帯の把握や待ち時間の分析も可能なので、スタッフの適切な配置にも活用できます。
注意すべきなのは、マーケティング目的で映像を利用する場合は、告知が必要な点です。
店頭での掲示やウェブサイトでのプライバシーポリシーの公開などで、適切に情報開示しましょう。
従業員の不正行為(内引き)の抑止効果がある
防犯カメラの設置は、従業員による内引き行為(商品の窃盗や横領)の抑止と証拠収集に大きな効果を発揮します。ブックオフホールディングスの調査では、複数の店舗で発生した現金の横領や商品の内引きによる被害額が、5,600万円にも上っています。
貴重な利益を不正行為で減らさないためにも、レジ周辺や在庫保管場所などの重要なエリアにはカメラを設置することをおすすめします。
カメラを設置する場合は、その存在を就業規則等で示し、事前に従業員の同意を得ることが重要です。
効果的な防犯カメラの設置場所とは?
防犯カメラの効果を最大限に発揮するためには、設置場所の選定が重要です。店舗内の要所を押さえた配置で、防犯効果を高めましょう。
- レジ周辺と出入り口
- 客席エリアとバックヤード
- 駐車場と店舗外周
レジ周辺と出入り口
レジ周辺と出入り口は、はじめに押さえるべき設置場所です。
レジ付近は現金を取り扱う場所なので、犯罪や従業員の不正などがもっとも発生しやすくなります。カメラをレジの真上や対角線上に設置することで、金銭の受け渡しの様子を確実に記録できます。
出入り口は、来店客の把握や不審者の侵入防止に効果的です。特に、入店時と退店時のお客様の様子を記録することで、万引きの証拠映像を確保できます。
また、来店客数の正確なカウントや、ピーク時間の把握にも活用できるため、効率的な人員配置や営業戦略の立案にも役立ちます。
いずれもカメラの存在がすぐにわかるように設置し、犯罪や不正行為を未然に防止しましょう。
客席エリアとバックヤード
客席エリアとバックヤードへの防犯カメラの設置は、店舗全体の安全管理と業務効率化に役立ちます。客席エリアのカメラは、万引きや置き引き、客同士のトラブルの抑止・記録に効果的です。
接客サービスの質の確認や、繁忙期の客席回転率の分析にも活用できます。死角が生じないように、カメラの配置と画角に注意しましょう。
また、バックヤードは営業中に無人になりがちなので、部外者侵入による事務所荒らしや盗難などの犯罪が起こりやすくなります。防犯カメラがあれば映像を証拠として残せるため、万が一の事件発生の際に役立ちます。
ただし、従業員のプライバシーには配慮が必要です。更衣室など私的空間への設置は避け、必要最小限の範囲に留めましょう。
駐車場と店舗外周
駐車場と店舗外周への防犯カメラ設置は、店舗の安全管理に不可欠です。特に夜間営業を行う飲食店では、事故や犯罪のリスクが高まるため、設置を推奨します。
駐車場には、出入り口、通路、主要な駐車スペースをカバーするように設置し、車上荒らし、接触事故、不審者の徘徊などを監視します。トラブル発生時には、状況確認や責任の所在を明確にする証拠としても活用可能です。
店舗外周は、建物の各角や出入り口付近に設置し、死角をなくすことが重要です。夜間の明るさを確保するため、照明設備との組み合わせも検討しましょう。ただし、周辺住民のプライバシーには配慮し、民家や私有地を直接撮影しないようカメラの向きや画角を調整する必要があります。
飲食店に防犯カメラを設置する際の注意点
防犯カメラの設置は店舗の安全性を高める一方で、いくつかの注意点があります。
- お店の雰囲気を損なう場合がある
- 導入と運用にコストがかかる
- 従業員へ事前に説明する必要がある
設置前に知っておくべきポイントと対策方法について見ていきましょう。
お店の雰囲気を損なう場合がある
雰囲気の良いレストランやカフェなどでは、防犯カメラが目立ちすぎると、顧客に威圧感を与えてしまう恐れがあります。
顧客に不快感を与えないためには、カメラのデザインや形状に配慮しなければなりません。小型のドーム型カメラを天井に設置したり、店内の装飾に合わせた色や形状のカメラを選んだりなど、過度に目立たない設置を心がけましょう。
導入と運用にコストがかかる
防犯カメラの導入には、初期費用とランニングコストの両面でコストがかかります。防犯カメラ1台の設置にかかる費用の目安は以下の通りです。
- カメラ本体の価格が1万円〜5万円程度
- 設置費用が1万円〜3万円程度
配線工事や追加オプションなどを加えると、1台あたりの総費用は3万円〜10万円程度になることが多いです。
運用面では、クラウド録画サービスを利用する場合は月額利用料が発生します。さらに、機器の故障や不具合に備えた保守契約も検討しましょう。
これらのコストを抑えるためには、補助金や助成金の活用、リースやレンタルの利用を検討するのがおすすめです。
従業員へ事前に説明する必要がある
防犯カメラの設置にあたっては、従業員への事前説明が重要です。説明不足は、従業員に過度な監視と認識され、労使間の不信感につながる可能性があります。特に、休憩室が更衣室を兼ねている場合、カメラ設置自体が問題となることもあります。
原則として、職場に監視カメラを設置する行為は、違法ではありません。職場は「公的な場所」とみなされ、プライバシーは一定限度放棄されると考えられるからです。
しかし、従業員のプライバシーに配慮し、カメラ設置が業務遂行上やむを得ないことを事前に説明しておくことが重要です。
具体的には、カメラの設置目的、場所、撮影範囲、閲覧権限者をミーティングで明確に説明しましょう。防犯や業務改善が目的であり、従業員の過度な監視が目的ではないことを丁寧に伝えることが重要です。
飲食店にはギガらくカメラがおすすめな理由とは
飲食店に防犯カメラを設置するなら、NTT東日本の「ギガらくカメラ」がおすすめです。
「月額1,870円(税込)」で利用できるうえに、以下の2つの便利な点があります。
- クラウドサービスのため運用しやすい
- ドーム型からBOX型まで機種が豊富にある
それぞれについて解説します。
クラウドサービスのため運用しやすい
ギガらくカメラは、クラウドサービス型の監視カメラです。
映像データをクラウドに保存するため、物理的なストレージの管理が必要ありません。またデータの保全や運用も容易で、万が一のトラブル時にもデータ紛失や不正アクセスなどのリスクが少ないのも魅力です。
ドーム型からBOX型まで機種が豊富にある
ギガらくカメラは、店内設置におすすめの「ドーム型」や店外設置におすすめの「BOX型」を含む10種類の防犯カメラを取り扱っています。
他にもインターネットに接続可能なインターネットカメラや、夜間利用におすすめの赤外線カメラなど、飲食店向けの防犯カメラが豊富に揃っています。
ギガらくカメラは、飲食店の安全管理や業務効率化に貢献し、総合的に店舗運営をサポートする強力なツールです。
まとめ:プライバシーに配慮して店舗運営に防犯カメラを活用しよう
飲食店に防犯カメラを設置する事は、法的な義務ではないものの、店舗運営においてさまざまなメリットを生みます。
不特定多数の人が出入りする店舗では、あらゆるケースの犯罪行為が想定されます。それゆえ、防犯カメラの設置は、社会的にも容認されています。
また、録画したデータは、防犯上役に立つだけでなく、販促のためのマーケティングに活用できる点も見逃せません。
告知義務を確認しプライバシーに十分配慮したうえで、店舗に合わせて防犯カメラを活用しましょう。
防犯カメラを飲食店で導入するか迷っている方は、NTTギガらくカメラを検討してください。